未知のウイルスについて不安に思われている方が多くいらっしゃると思います。獣医師会の見解を元に、皆様にわかりやすくお伝えいたします。
ペットを感染から守るためには、
飼い主自身がしっかり感染予防をすることが最も重要です
ペットへ感染した事例について
わんちゃんの事例
香港において陽性患者が飼っていた犬をPCR検査した結果、弱陽性反応が出ました。その間、飼い犬は何も症状を出していませんでした。弱陽性反応はその後、陰性となったようです。
3月18日に別の陽性患者が飼っていた犬も陽性反応が出ましいたが、症状は出さず、その後陰性になりました。
ねこちゃんの事例
ベルギーにおいて3月27日に感染が確認されました。この猫は下痢、嘔吐、呼吸困難などの症状を示したあと回復しましたが、十分な情報がなく本当に感染したか不明です。
香港において3月31日に猫への感染報告があり、この猫は症状を示していないとされています。
ニューヨーク州において4月22日にそれぞれ別の飼い主に飼育されている猫2頭の陽性反応が確認されました。この猫たちは、軽い呼吸器症状を示し、現在は回復していると報告されています。
その他の動物の事例
4月5日にニューヨークのブロンクス動物園でトラ1頭が感染したことが報告されました。さらに4月22日に他のトラ4頭とライオン3頭においても糞便中に新型コロナウィルスの感染が確認されました。
新型コロナウィルスはヒトからヒトに感染する病気です。ヒトからペットへの感染は一般的ではなく、さらにペットからヒトへ感染する可能性は限りなく低いだろうと、世界の多くの専門家は考えています。
ただ、いずれの報告もペットにうつる可能性を示していますので、飼い主自身の予防対策が重要であることに変わりはありません。
わんちゃんについて注意すること
散歩と運動について
・人や犬が多く集まる公園、ドッグランに連れて行くのは避けましょう。
・必ずリードをつけましょう。
・人混みを避けたルートを選び、通行人や犬と1.8m程の距離を保ちましょう。
手洗いを徹底してください
・わんちゃんに触れる前(帰宅時にわんちゃんが寄ってきても我慢)
・わんちゃんの身の回りのものを触れる前(ペットフードやおもちゃなど)
感染防止のためにさらなる対策
・人が口にしたものを与えない
・わんちゃんに咳、くしゃみの飛沫をかけない
・キスをしない
・わんちゃんに舐められないようにする
犬コロナウイルス感染症(CCV)と新型コロナウイルス(COVID-19)について
この2つのウイルスは異なるウイルスです。CCVはヒトを含めた他の動物に感染した報告はありません。CCVに感染すると軽い下痢症状を起こしますが稀な病気です。CCVとCOVID-19を混合しないように気をつけましょう。
新型コロナウイルス(COVID-19)にかかった時の症状
犬では明確な症状は確認されていません
ねこちゃんのについて注意すること
暮らし方について
犬、豚、鶏に比べると猫やフェレットが感染しやすいという報告が出ています。
ヒトから猫、猫から猫への感染の可能性が考えられることから外に放さず室内で飼育することが望まれます。
手洗いを徹底してください
・ねこちゃんに触れる前(帰宅時に猫ちゃんが寄ってきても我慢)
・ねこちゃんの身の回りのものを触れる前(ペットフードやトイレ用品など)
感染防止のためにさらなる対策
・人が口にしたものを与えない
・ねこちゃんに咳、くしゃみの飛沫をかけない
・キスをしない
・ねこちゃんに舐められないようにする
猫コロナウイルス(FCoV)と新型コロナウイルス(COVID-19)について
この2つのウイルスは異なるウイルスです。FCoVはヒトを含めた他の動物に感染した報告はありません。FCoVに感染すると伝染性腹膜炎を起こしますが稀な病気です。FCoVとCOVID-19を混合しないように気をつけましょう。
新型コロナウイルス(COVID-19)にかかった時の症状
猫では呼吸器症状・消化器症状があったとの報告があります。
飼い主が感染した場合に準備すること
飼い主が新型コロナウイルスに感染すると、隔離するために最低2週間は外出ができないなど、普段の生活はできません。
そのため、ペットの身の回りのものを事前にストックしておきましょう。
飼い主が感染してしまいペットを他の方に預ける場合に備えること
ペットの情報をノートにまとめる
・自分と自分以外に最低2名の連絡先
(緊急連絡先)
・ペットの名前、品種、年齢、性別
・不妊去勢手術の有無
・マイクロチップの番号 or なし
・生活習慣
・性格(嫌がること、喜ぶこと)
・飼育上の注意点
(脱走癖、食物への執着、攻撃性等)
※咬み傷事故が起きないように細かく記述をすること
・かかりつけの動物病院名と連絡先
ペット自身が身につけるもの
・万一脱走や逃げてしまう時のために首輪をつけましょう。
・個体識別の為、名札、迷子札など連絡が取れるものをつけましょう。
治療中のペット
・服用中の薬は2週間分がいつも手元にあるように処方していただきましょう。
・必要な処方食、検査結果、治療経過、注意点など申し送り書を用意しましょう。
健康なペット
・普段食べているペットフードの他に大好きなお菓子も用意しましょう。
・消毒が可能なら小さいおもちゃも用意するとペットが安心するかもしれません。
※ 飼い主が感染している場合、消毒のできないモノは預けられません。
エキゾチック(特殊ペット)については飼い方や管理方法などの申し送り書があると預かる側が助かります。
高齢なペット
高齢なペットは一般にストレスに弱いです。
・普段食べているフードや消化の良いフードがオススメです。
(液状、ペースト状、機能性食品など摂取しやすいもの)
飼い主が感染したとき
自宅療養する場合
ペットの体にウイルスが付着しないように療養中の部屋の出入りをさせないようにしてください。またウイルスが付着したマスク、タオルやベットカバーなどのリネン類にペットが接触しないようにしてください。また病状が悪化しお世話ができなくなる場合に備えて預けられる人を探しましょう。
入院する場合
ご家族など、他にペットの世話をしてくださる方にお願いしてください。
また、アニコムホールディングス株式会社さんが「#StayAnicom」プロジェクトを開始しています。新型コロナにかかり隔離生活している飼い主へ無償でペットを預かる取り組みです。
濃厚接触してしまったペットを預ける時の注意点
・濃厚接触してしまったペットの毛などを介して他の人に感染させないためにシャンプーをしましょう。
シャンプー前に体をお湯で流しましょう。その時お湯が飛び散らないよう注意して丁寧に流した後シャンプーをしてください。
ペットを拭いたタオルは一般的な家庭用洗剤で洗濯してください。
・預ける際は事前にキャリーバッグ、首輪、リードを消毒してください。
また日本獣医師会では預ける側と預かる側の両方に対して、どのように対応すれば良いか詳しく説明したページを設けています。こちらもご参照ください。
ペットが感染していないか不安な場合
ペットが濃厚に接触したことが分かっていて、その後ペッ トの体調が悪くなった、という場合には、かかりつけの動物病院に電話をしてください。 ペットを動物病院に連れていく前には必ず事前に連絡を入れてください。
診察の結果によって検査の必要がある場合は、獣医師から国立感染症研究所獣医科学部に検査の必要性を問い合わせいたします。飼い主が直接依頼することはできません。